電力不足が懸念される中、「ごみ発電」が注目を集め始めている。一般的な「ごみ発電」は、ごみを焼却する際に発生する高温燃焼ガスによりボイラで蒸気を作り、蒸気タービンで発電機を回すことによって発電する。「発電に伴う二酸化炭素」は発生しないため、環境にやさしいというわけだ。また、定期的にごみを焼却することから供給が安定していることや、発電規模は小さいが電力需要に直結した分散型電源であるなどのメリットがある。
そこで、東京都などはこみ焼却熱による発電を、電力の需要がピークを迎える夏に増やす計画を立てている。東京23区の清掃工場では、20ヵ所で発電を行っており、発電能力は最大約25万キロワットと中規模の火力発電所に匹敵する。ただ、実際の発電量はこの半分程度で、工場でも自家消費するため、東京電力への売電量はさらに少なくなる。そこで、夏場に予定されていた補修工事をずらして休止炉を減らすほか、工場内での消費を減らす工夫をしたり、焼却炉へのごみ投入量を昼間に集中させ発電量を増やすなどして売電量を増やしている。これによって、約3万世帯分の電力が賄えるという。
こうした技術やノウハウは、海外でも評価されつつある。特に海外では、都市ごみが埋め立てられることが多く、焼却炉の需要はあまりなかった。しかし、都市ごみの増加が問題になり始め、さらに、ごみ焼却時の廃熱が新たなエネルギー源として注目されるようになったことで、発電能力を備えたごみ焼却炉の需要が拡大している。
そこで、「ごみ発電」分野のインフラ輸出も始まっている。海外で焼却炉を中心とする環境プラント事業に力を入れている日立造船は、イギリスのごみ焼却発電事業者から、イギリス北東部の都市ごみ焼却発電プラント建設工事を受注したと発表した。事業規模は200億円と推定されている。プラントは処理能力が日量456トンの焼却炉2基と、出力2万4000キロワットの発電設備で構成される。
「ごみ発電」の技術は、JFEエンジニアリングや三菱重工業など他の焼却炉メーカーが有しており、海外展開を狙っている。原子力発電所の事故で、原子力分野のインフラ輸出が暗礁に乗り上げている日本にとって、「ごみ発電」のノウハウは1つの財産となりそうだ。
(サイトウ イサム 、 加藤 秀行)
30日午前7時ごろ、新潟県村上市の沖1キロの海上で男性を救助したと漁船から118番があった。新潟海上保安部によると、男性は新潟市秋葉区の団体職員田中良明さん(48)で、29日朝からプレジャーボートに乗って釣りに出て、ボートが沈没したため、約24時間にわたって漂流していた。田中さんは病院に搬送され、軽度の低体温症だが、命に別条はないという。
新潟海保によると、田中さんは29日午前5時ごろ、同県聖籠町からボートに乗って出発。同7時ごろ、波が高くなったため、釣りをやめていかりを揚げようとした際、ロープがスクリューに絡み、これを外そうとしていたところ、横波をかぶってボートが沈没した。
田中さんはクーラーボックスにしがみついて漂流し、正午ごろからは、長さ4メートルの流木にまたがり続け、約36キロも流された末に助けられたという。
[時事通信社]